不定期日記(2025)   ネタは随時募集しております。ぜひ御一報下さい。
99通期00通期 01前期01後期 02前期02後期 03前期03後期 04前期04後期 05前期05後期 06前期06後期 07前期07後期 08前期08後期
09前期09後期 10前期10後期 11通期12通期 13通期14通期 15通期16通期 17通期18通期 19通期20通期 21通期22通期 23通期24通期

 日頃頂きましたメールには全てお返事を差し上げているつもりですが、万一「返事が来ない〜」等、
お急ぎの場合は遠慮無く電話でお申し付け下さい。
03-5452-5298 or 携帯へお願い致します。 
2025/01/15, 16 2025AGEM (Tainan, Taiwan) *keynote invited, 参加
2025/03/26 電子情報通信学会総合大会 (東京都市大学) *invited, 参加
2024/05/12-14 HOPV25 (Roma, Italy) *不参加
2024/06/30-07/04 ICMAT 2025 (Singapore) *不参加
2024/07/23-24 ISSE 2025 (Kyushu, Japan) *参加, Invited
2024/09/**-** AFMPV 2025 (Samarkand, Uzbekistan) *参加, Invited & co-organizer
2024/09/15-18 PSCO 2025 (Perugia, Italy) *不参加?
2024/09/22-26 EU PVSEC (Bilbao, Spain) *不参加
2024/09/23-25 PVSPACE-2025 (Rome, Italy) *不参加
2024/09/28-10/2 B-MRS 2025 (Salvador, Brazil) *不参加?
2025/10/**-** ISOS-16 (Belgium) *invited, 参加
2024/11/16-21 PVSEC-36 (Bangkok, Thailand) *不参加
2025/11/23-25 NHSC-14 (Hsinchu, Taiwan) *invited, 参加
2025/11/30-12/03 CICC-14 (海南 海口市, China) *invited, 参加?
2025/11/30-12/05 MRS Fall Meeting (Boston, USA) *予算次第? (CICC-14 と日程重複)
2025/12/15-20 Pacifichem2025 (Hawaii, USA) *参加

【2025.4.2 記事のお知らせ】

セブン、大阪万博で未来店舗 遠隔ロボが接客・床で発電 *DSC
  (2025年4月2日付 日本経済新聞)

 商品棚に使う電子値札には、色素を使って効率を高めるフィルム型の「色素
増感太陽電池
」を活用する。


*写真右下の DSC はスウェーデンの「Exeger」(エクセジャー)が開発した「Powerfoyle」(パワーフォイル)です by N先生

 エコだね! 前期チッケトも買いましたよ。

【2025.4.1 記事のお知らせ】

人工光合成に光触媒の技 京都大学の阿部竜教授 *Photocatalyst
  (2025年4月1日付 日本経済新聞)

 高度なエイプリルフールねた、ですよね? (笑) こっちも相変わらず。

【2025.3.31 記事のお知らせ】

ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた安城工場での社内実証を開始 *Perovskite
  (2025年3月31日付 株式会社アイシン/ニュース)

アイシン、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた安城工場での社内実証を開始 *Perovskite
  (2025年3月31日付 PR TIMES)

 ポイントは「薄ガラスを用いた独自のフィルム構造による高い耐久性を特徴としてい
ます」。


 珍しくアイシンから。いよいよ本命登場?

【2025.3.30 記事のお知らせ】

英紙も注目! “中国再エネ独占”の牙城に挑む「日本発ペロブスカイト太陽電池」 *Perovskite
  (2025年3月30日付 クーリエ・ジャポン)

 「中国が注力しているのは (重たい→) ガラス型のペロブスカイト太陽電池で、それ
は我々が目指すものとは違う市場だと考えています by 伊藤禎則氏@経産省」
 私もそう思っていた時期がありました。が、しかし! 先日ここで御紹介した中国・
脉络能源 (Mellow Energy) 社のモジュールはデバイス厚みが 1.7mm のフレキシブル
型で「(薄板) ガラス製」だという噂が。 *製品が 3 タイプあるので、情報が錯綜しています

 既にコンテナで送られた第一便は日本に到着したようなので、手に入り次第御報告
したいと思います。


 遂に来ましたか!?

【2025.3.27 経済産業省からのお知らせ】

ペロブスカイト太陽電池ってなに? *Perovskite
  (2025年3月28日付 TouTube)

 資源エネルギー庁の特設サイトより、2:25 の動画です。コメントはオフになっています。

 そんなに凄い太陽電池なら、なぜ日本の企業がこぞって参加しないんでしょう? :)

【2025.3.27 記事のお知らせ】

*L サイズはこちら
充電不要で一生使える「ベータボルタ電池」が登場 *DSC
  (2025年3月27日付 GIGAZINE)

Next generation battery: Highly efficient and stable C14 dye-sensitized betavoltaic cell *DSC
  (2025年3月26日付 ACS)

 これ、昨年ここで御紹介したことのある原子力バッテリーですね (【2024.9.5 ペロブス
カイト原子力バッテリー】)。もっとも、放射線源に炭素14を用いるのなら、色素は不要
のはず。


 微妙。

【2025.3.27 桜、満開!】

*L サイズはこちら
 御卒業おめでとうございます!

【2025.3.26 東京都市大学にて】

 電子情報通信学会 総合大会企画シンポジウムの依頼講演です。運悪く日本化学会
春季年会と日程が重なってしまい、こちらを先に承諾してしまったため大阪には行けま
せんでした。


 武蔵工業大学(1949)→東京都市大学(2009, 私立) 場所は世田谷です。東京都立大学(2005)→首都
大学東京(2020, 公立) は八王子。なるほど。

【2025.3.25 記事のお知らせ】

ペロブスカイト太陽電池の発電効率を向上させる電子輸送層の成膜用インクを開発 *Perovskite
  〜従来型のインクより約1.5倍の高発電効率を実現〜
  (2025年3月24日付 三菱マテリアル株式会社 プレスリリース)

 市販される?

【2025.3.25 国際会議 CICC-14 のお知らせ】

The 14th International Conference on High-Performance Ceramics (CICC-14) *Perovskite
  (第14回高性能セラミックス国際会議) S15: Emerging Photovoltaic Materials and Devices

 馬 廷麗先生@九州工業大学と紅林先生@精華大学の呼びかけで、中国・海南省
海口市にて上述の会議が開催されます。

 会期はなんと MRS (Boston) と完全に重なっているのですが、純然たる太陽電池と
してのペロブスカイトセッションが消失してしまった現状 (かろうじて EL セッションはあ
ります)、CICC-14 を優先せざるを得ないと思います。

 日本からの Keynote は宮坂先生、Invite には有り難いことに私が返事をする前
から名前を載せて頂いております。


  「海口市はきれいな街であり、関西空港から直行便が出ております」とのこと。海口空港→HAK です。

【2025.3.19 電気化学会第92回大会 Day2】

 Heavy snow!

【2025.3.18 電気化学会第92回大会 Day1】

電気化学会第92回大会  

 吉祥寺駅から更に 3 駅先に行った東小金井駅のすぐそば、東京農工大学にて。

 大根踊り」があるのは東京農業大学です、お間違いなく。

【2025.3.17 B-MRS】

第23回 B-MRS Meeting 2005  

 B-MRS と言えばブラジルの MRS、場所はサルバドール (Salvador)。1字違いでエル
・サルヴァドル (El Salvador) というのがありますが、こちらは地球上で最も治安の悪い
国の1つで、昨日アメリカがギャングを200人追放した所。じゃなくてサルバドール

 前々から「来てくれ」言われていたのですが、今年もお誘いを頂きました (有り難い)。

 誰か一緒に行きません? :)

【2025.3.16 産総研より】

 御報告が遅くなりましたが受賞です。「ペロブスカイト太陽電池の基礎と将来展望」と
題して色材協会論文誌へ投稿された村上拓郎先生の論文が、昨年度もっとも多い引
用回数を得た模様。

 おめでとうございます!

【2025.3.15 中国製フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池】

 雨天の今日、屋外で評価中の中国製フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池モジュ
ールです。65V, 5.3W ほど出力されている様子が見て取れます。
 後ろの張り紙は関門海峡遊覧船 (福岡県北九州市) ヴォイジャーですね。K様、お知らせありがとうございました。

【2025.3.14 J-PVS】

 日本太陽光発電学会 ペロブスカイト太陽電池分科会 2024年度第3回研究会。熊本
大学の杉本学先生よりお土産を頂きました。
 あざっっっす!

【2025.2.12 記事の御紹介】

ペロブスカイトに強力ライバル、有機薄膜が単接合変換効率20%超え *OPV
  (2025年2月7日付 日経クロステック)

 少し前の記事ですが御紹介致します。OPV が遂に 20% 超え、確かに凄いです。
凄いですが、前にもお話した通り材料費がハンパじゃありません。

 セル 1 つ作って評価するのに、一体いくら掛かるんでしょうか?

・D18-Cl \87,400/100mg *金の57倍
・2PACz \32,300/500mg
・BTP-4F-P2EH \59,060(400USD)/100mg 以上
・PDINN \60,800/250mg
・Ag \178.5/g
 元文献はこちら:doi: 10.1016/j.joule.2025.101851
Efficient and stable high-entropy organic photovoltaics
Zhang, Ming et al., Joule, Volume 0, Issue 0, 101851 (2025)

 微妙。

【2025.3.15 テレビ東京】

 3月15日(土) 午後 4 時放送。「テレ東系 SDGsウイーク」の一環で、キー局で初の
ネイチャーポジティブ特番だそうです。

 インタビュアーは俳優 (?) の吉田伶香さんです。

【2025.3.11 送別会】

 8年目の御卒業? お疲れ様でした。

【2025.3.7 国際会議 2025】

 

 

 年度末も見えてきて、そろそろ次年度の計画を建てるべくHPを調べてみたのですが、
案の定。

 HOPV2026 (Perugia, Italy) が早期割引価格で 785Eur (→¥125,505)、MRS Spring
Meeting (Seattle, USA) 1,090USD (→¥147,420)。円安がピークアウトして、なおこの
価格差があります。

 こんなの無理。

【2025.3.4 众能光电科技】

 中国ネタが続きますが众能光电科技。こちらは「出口日本!」で、やる気満々です。
以下、2月28日付けのニュース冒頭を直訳で御紹介致します。


「杭州中能光電科技有限公司は「中国スマート製造」で新たな高みに到達 −
 ペロブスカイト薄膜電池(モジュール)のインテリジェント生産ラインを日本に輸出!

 春風が暖かさをもたらし、すべてが復活し、海外市場から良いニュースが届きます。世界的な新エネルギー競争の波の中で、杭州中能光電子科技有限公司は「Made in China」の姿勢で新たな高みに到達しました。

 ペロブスカイト薄膜電池(モジュール)のインテリジェント生産ラインが日本に輸出されています。研究所から多国籍生産ラインまで、杭州研究開発センターから東京湾の新工場まで、中能光電子は技術の蓄積により新エネルギーのグローバル化のエンジンに火をつけ、世界のクリーンエネルギー開発の新たな道を切り開きました。(後略)」

 中国関連はニュースが多すぎて御紹介しきれないです。

【2025.3.4 ガラス系&フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池】

 上の動画は沖縄那覇市にあるライフジュニア日本語学院の屋上に設置されたペロブ
スカイト太陽電池パネル (中国製)。14 枚 x 2 段 x 2 ユニットで 5kW くらいの設備でし
ょうか? 現在、沖縄電力への連携について申請を行い、許可待ちの段階とのこと。

 なお、昨年来ここで御紹介してきた福岡県新宮市でのペロブスカイト太陽電池パネル
の製造もしくは販売計画は、理由は分かりませんが全て白紙になった模様。K元製作
所とのバッティングを懸念したんでしょうか?

 恐らく供給元の UtmoLight が拒否したんだと思います>私の勝手な想像です。
訂正、今回は中国・脉络能源 (Mellow Energy) 社のモジュールですね。

【2025.3.3 Linked in より愛を込めて】

 先日の Ted Sergent も驚きましたが、遂に G 先生からお友達申請を頂きました
(びっくり)。

 昨年ウズベキスタンに行って悟ったのですが、連絡先に名刺を交換するのは石器
時代の人間だけで、Fecebook も古過ぎ。今時の女子学生 ? は Instagram です。
→私からお願いしたわけではないので、誤解無きよう。

 spam じゃないよ。 :)

【2025.2.26 ああ、TLO (2)】

 そんなある日、「内田先生 (困りました)、どうしましょう?」という相談を受けました。

 とある大阪の化学商社さんですが、昨年 2 月に取締役/某大学事業部担当 S 氏か
らメールで問い合わせが来たのが始まりになります。曰く、「高純度の PbI2 をペロブス
カイト太陽電池用として販売することは (我々の所有する) 特許に抵触する可能性が
ある→まかりならん」とのこと。

 更に不可解なのは「W宮教授、およびそのW宮先生が関与しているベンチャー;エ*
*ートに対してお詫びを貴社から申し上げて頂く事は可能でしょうか?(原文そのまま)」
です。

 ちなみにこの商社、厳密には供給元ですが、高純度 PbI2 の製造はペロブスカイト太
陽電池が世に出る何十年も前から扱っているわけですが、何を今更?

 彼ら「特許に抵触している→違法行為を行っている可能性がある」という触れ込みで、
メールとは別に書面でも通知を出しています。私の理解では S 氏の思い込みでしかな
く、違法性について判断が定まっていない事案であるにも関わらず「取り敢えずW宮先
生に詫びを入れて欲しい
」と、飛躍した話を提案されています。

 これ、新手の恫喝でしょうか? それとも特許権の侵害が判明した際は、土下座して
謝る
ことが習わしなんでしょうか?? :)

 私なりに少し調べますと、市販の高純度 PbI2 (99% Aldrich) を用いた論文は 2012 年
当初からありますし、W宮先生御自身も 2014 Chem. Lett. の論文中で「PbI2 (99.999%
trace metal basis) we purchased」購入したと書かれています。

 無論、実際のプロセス上、更に昇華精製するなどして脱水を行うというのは工業的に
見合うはずも無く、現実性がありません。などなど、探せばいろいろと突っ込みどころが
満載です。

 恐らく TLO サイドは一度登録された特許は絶対の存在で、20 年間の権利が保証さ
れると安心されているようですが、公益的無効理由 (=新規性欠如・進歩性欠如等)
が後から判明した場合は特許無効審判へ持ち込まれることもありますし、実際、私も
1 件登録済みの特許を取り下げられた経験があります。
 即ち、特許を維持するためには毎年登録年金を納めるだけでなく、後発の特許と整
合性を見るためにパテントマップを作成する等、常にメンテナンスが必要です。また特
許は 1 つ出して終わりではなく、周辺技術も特許で固めて初めて強力な権限となりま
す、、、みたいな仕事を TOL がフォローできるはずもありません。全く無理。

 以上のことから、現在クレームを受けた上述の化学商社は懸案のW宮特許を葬り去
るべく、大阪の弁理士法人様と協議中です。淡々と作業あるのみ。徹頭徹尾、要らぬ
仕事を増やす無、、、な人たち>TLO。逆に晴れて無効を勝ち取った場合は彼ら、きち
んと詫びを入れてくれるんでしょうか? (苦笑)

--------------------
*聞くところによりますとW宮研と縁の深い TC* 社は本件について少なからぬ特許使
 用料を大学に納めているそうなので、万一無効化された場合は損害請求される恐れ
 があります。

*また現状、副次的なデメリットとして某大学/エ**ート社へは国内主要メーカーで
 使われているペロブスカイト太陽電池部材や情報が伝わらない、というケースも発生
 しております。

 御愁傷様。

【2025.2.26 ああ、TLO (1)】

承認・認定TLO(技術移転機関)一覧 *Patent
  (2024年10月1日付 特許庁)

 「TLO」と言えば「無能な働き者」「大学に巣くう悪の組織」というネガティブなイメージ
しか無かったのですが、関係者の方が見ていらしたら済みません、あくまでも私の個
人的な主観です。元々は「特許に明るくない大学の先生の発明とその権利を守ってあ
げましょう」という趣旨で設立されたわけですが、実態は我々教員にしてみれば迷惑な
存在でしかありませんでした。

 即ち、仮に既に十分練られた明細書を提出しても TLO 職員がしゃしゃり出て不要な
アドバイスを繰り出し、申請の足を引っ張るということがほとんどでした。なぜなら、教
員の発明申請をそのまますんなり通してしまったら、彼ら TLO の存在意義が薄れてし
まいますから。

 余談になりますが私、過去に遡りますと論文以外にも特許を 67 件申請し、そのうち
35 件が登録されています。またそれらのほとんどが職務発明云々とは無縁の、法改
正がなされる 2004 年以前のものになります。当時は延べ 100 社を超える企業から寄
付金を頂き、その対価として特許をお返しする (→特許申請に資する結果を、お世話
になった会社の皆様にお返しする) という心掛けで仕事をしておりました。

 では 2004 年以降、権利を主張するに相応しい新しいアイディアが出ていなかったか
と言えば決してそうでは無く、私の場合、基本的に特許の権利は全て放棄しております。
即ち (1) 論文のような形で公知として一般公開してしまうか (2) 会社との協業の場合
は私の名前抜きで特許出願してもらうか (3) 何もしない、です。

 その理由ですが、TLO とのやり取りで費やす無駄な時間が惜しいのもさることながら、
企業との共同研究であってもなぜか「大学教員が関係する発明の権利は 100% 大学
に帰属する」という常識外れのルールがまかり通っていたからです。まさに暗黒時代。

 ところが、です。私、東大に長くいたせいで知らなかったのですが、TLO が残って
いる大学は今では東大と京大、早稲田と佐賀大・群馬大・山梨大など少数になってお
り、大部分は TLO は廃止もしくは第 3 セクターの民間企業に移管されたようです。基
本的に各省庁の天下り先であることに変わりありませんが、それでも今は「本発明は
職務発明ではありません」と突っぱねれば、TLO の関与を避けられる仕組みになった
ようです。これ、あくまでも東大や京大以外では、の話です。

 実は先日 2/18 の JEITA の会議で「標準化のビジネス活用」と題して一橋大学イノ
ベーション研究センターの江藤学先生から御講演を頂いたのですが、非常に有益な
お話を頂きました。文科省が日本の大学に TLO を設置する際にはアメリカのシステ
ムを手本としたようなのですが、当時アメリカは先発明主義で特許の中身が公開され
る前から権利の売買が可能であり、アメリカの大学は既に利益が得られている特許
のみを選択して TLO に集約していたそうです。

 一方の日本は先願主義なので、いつどの程度の収益が得られるのか見通しも立た
ない中、そもそも申請された発明にどのくらい価値があるのかすら分からないまま僅
か数名〜十数名足らずの TLO 職員が場合によっては年に数百件もの特許出願全て
に対応・右往左往していたわけで、非効率なお役所仕事を延々と続けていたことにな
ります。

 こうした前提条件の違いを根拠に、江藤先生は TLO の導入に対して猛烈に反対さ
れたそうですが、その後の経緯は皆様が御存じの通りです。「天下り先が日本中の大
学に増える」という魅力に対しては、如何なる不都合も黙認されてしまいます。

------------------------
 という長い前置きがあって、最近起きたペロブスカイト太陽電池特許にまつわる笑え
る話が 1 つ。続きは後ほど。 公開したら怒られますでしょうか? (苦笑)


 私?「無能な怠け者」です。 ha ha

【2025.2.25 来客にて】

 フランスのフランス国立科学研究センター CNRS より Research Professor の Dr.
Lionel Buchaillot 及び Director of the CNRS Tokyo Office の Dr. Jacques Maleval
氏にお越し頂きました。
 5 分じゃ説明無理。 :)

【2025.2.23 天皇誕生日】

 やり残した仕事が山積しているのですが、ひとまず気分転換させて頂きます。モウシ
ワケナイ。
 いつもの。筋肉痛。 :)

【2025.2.19 PVEXPO】

 なんだかんだで年に 5〜6 回は足を運ぶ東京ビッグサイト。今回は珍しく太陽電池
展単独で看板が出ています。全盛期には及ばないものの、まぁまぁの盛り上がり。
----- [UtmoLight / 中国] --------------------
 ガラス製 600mm X 1,200mm モジュールと業界最大の 1,223mm X 2,308mm モジュ
ール
を展示。前者は 150MW の生産ラインを、後者は 1GW の生産ラインを既に構築
済み。ここまで知識としては知っていましたが、実際に横に並びますと、とんでもなく
大きいことが実感できます。このサイズになりますと、運搬時に私の研究所のエレベ
ーターには入りませんね (凄げー)。

 ガラス基板ということもあって、パッと見には塗布ムラや欠陥も無く、普通に製品とし
ての体裁は整っているように見受けました。それよりも感心したのはブースの説明員
の応対が非常に丁寧で、「日本の市場を席巻してやろう」的な邪悪な雰囲気は微塵も
ありませんでした。

 余裕のなせる技でしょうか? 300mm 角のフレキシブルタイプのモジュールは誰でも
触れる状態で、ついでのように展示されており、またこれらを製造する生産ラインの構
築支援と設備一式の販売も行っているとのこと。

 現在技術者を募集しているそうなので、中国からの留学生など就職がまだ決まって
いない方はぜひお問い合わせ下さい。


----- [GCL / 中国] --------------------
 会社名は正確には「GCL Perovskite」で、シリコン太陽電池パネルの製造販売を主
業とする GCL グループの一つです。今回は敢えてペロブスカイト太陽電池だけに焦
点を当てて出展。

 G5 世代のガラス製 1,000mm X 2,000mm モジュール (安定化効率 19.04%) と、同じく
1,000mm X 2,000mm の高効率タンデムモジュール (安定化効率 26.36% @1.71m2)
展示。

 下地の単結晶 c-Si パネルは GCL グループから調達。将来的に上層のペロブスカ
イト太陽電池の劣化による取り替えを見越して 4 端子接続です。最新の 10 inch シリ
コン単結晶モジュールを工業的に生産している会社ならではの説得力ある提案です。

 対案として Oxford PV などアカデミック色の強い一部の企業では 2 端子型タンデム
セルを開発していますが、現状は試作段階で止まっており、投資家向けのサービスと
言っては恐縮ですが、、、現実性の乏しいミスコンセプトだと思います。

 GCL 社の製造現場は現在江蘇省蘇州市の昆山 (クンシャン) 市にあり、100MW ライ
ンでペロブスカイト太陽電池モジュールを生産中ですが、近々 1 月以内に近くへ移動
し、工場を更にスケールアップして 1GW の生産を目指すとのこと。

 また研究開発はシンガポールで行っており、1 日当たり最大 300 セルを試験評価し、
なおかつ AI を駆使して性能向上に努めているそうです。

----- [台湾ペロブスカイト研究産業協会 TPRIA / 台湾] --------------------
 透過率 15% のシースルー型を展示。昨年より大きなアップデートは無し。配布カタロ
グも無し。いけいけの中国勢に水をあけられた感じ。

----- [倉元製作所 / 日本?] --------------------
 中国から日本へ帰化した新社長の下、主要株主も中国人という微妙な立ち位置に
あって、最近ペロブスカイト太陽電池に取り組まれた模様。あいにく詳細を伺うことが
出来ませんでした。展示は基本的にフィルムタイプ、製造は UtmoLight / 中国 と思
われ。将来的に製造ラインとノウハウも UtmoLight から提供されるのでしょうか?


 時間の都合で、これ以上見れませんでした。各ブース訪問毎に無駄なおしゃべりしてた私が悪いんですが。 (反省)

【2025.2.18 JEITAにて】

 堀内先生から御講演を頂きました。写真のセルはエネコートテクノロジーズ社製。

 会議全体の趣旨は「IoT向けエネルギーハーベスティング(→微弱電流の回収)」で、
かつ「標準化セミナー(→国際規格化について)」だったのですが、予想を超えて皆レ
ベルが高く、充実した講演会でした。
 フィルムデバイス>逆構造、ガラスデバイス>順構造ですかね? :)

【2025.2.12 JENESYS2024 台湾】

 外務省主催の「日本ASEAN学生会議 JENESYS2024」の一環として、台湾から 25 名
の学生さんが来られました。1 時間の講義と、更に 1 時間の研究室見学を実施致しま
した。

 なぜ私が?という話もあるのですが、昨年、国際会議で私の講演を覚えていて下さ
った先生から御指名を頂きました。
 大盛況。 :)

【2025.2.12 記事の御紹介】

株式会社環境フレンドリーホールディングス *Perovskite
  杭州衆能光電科技有限公司との業務提携に向けた基本合意書
  (2025年2月12日付 日本経済新聞)

エースネットワークス株式会社 *Perovskite
  第23回 SMART ENERGY WEEK【春】 / 第6回 GX経営 WEEK【春】に出展
  (2025年2月12日付 NIKKEI COMPASS)

 どちらも中国系。

【2025.2.11 記事の御紹介】

 OPV の記事 2 件御紹介します。効率が 10% 付近で伸び悩み、一時期は「死んだ
(OPV is dead)」とさえ言われていた有機薄膜太陽電池ですが、ホール輸送層を脱フ
ラーレン化し、見事に復活を遂げました。

 ただし手放しで喜べる状況ではなく、このホール輸送層 (p-型ポリマー) が尋常じゃ
ないほど高価です。一例として PBDB-T-2F(PM6) 100mg \110,000、P4T2F-HD
100mg \83,600、PBDB-T 100mg \\75,500、PTB7-Th(PBDTTT-EFT) 100mg \103,000、
PTB7 100mg \79,800 などなど、以上 Aldrich 調べです。

 最近金が高騰したと言っても今日の値段で 15,719 円/g (=\1571.9/100mg) ですか
ら、その 50〜70 倍もする狂気の材料競争となっています。
  
中国の有機薄膜太陽電池メーカー、事業化に向けて量産体制の準備急ぐ *OPV
  (2025年2月11日付 36Kr Japan)

ペロブスカイトに強力ライバル、有機薄膜が単接合変換効率20%超え *OPV
  (2025年2月7日付 Nikkei Business Publications)

 追光科技社はスロットダイ方式ですね。 :)

【2025.2.11 ソラフィルとは?】

 
 もしかして秘密情報?なのかもしれませんが、公知なので御紹介。特許庁HPを
辿って「SOLAFIL」の商標登録を調べますと、あの会社が出てきます。

 区分は「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,太陽電池,太陽
光発電パネル
(以下略)」。
  
 曰く「ちゃんと登録しました」「問題無い、大丈夫」とのお話でしたが、海外ではイギ
リスの会社が一字一句全て同じ名前で「SOLAFIL」という歯科治療用充填剤を製造
販売していますので、将来製品を輸出する際には色々と問題が起きることが予想さ
れます。

 乞う御期待?

【2025.2.10 講演会のお知らせ】

 JEITA のセミナーです。講師 4 人目にエネコートテクノロジーズ取締役/最高技術
責任者の堀内保先生をお招きして「エネコートの作るペロブスカイト太陽電池「どこで
も電源」について」という御講演を頂きます。

 こうしたイベント、通常は CEO の加藤代表が務めることが多いのですが、技術的な
内容に踏み込んでお話を聞ける?珍しい機会だと思います。オンライン聴講は制限
ありませんが、対面参加の場合は会場の都合で 40 名に限られますので、お早めに
お申し込み下さい。
IoT向けエネルギーハーベスティングの
  動向と標準化セミナー *Perovskite

 主 催: 一般社団法人 電子情報技術産業協会
 日 時: 2025年2月18日(火) 13:30〜17:45
 参加費: 3,000 円(資料代・消費税含む
 場 所: 電子情報技術産業協会402会議室
    東京都千代田区大手町 1-1-3 大手センタービル4階 map
 乞う御期待。

【2025.1.31 取材です】

 テレビ東京。

【2025.1.30 RENEWABLE ENERGY 2025】

 第19回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム
       
 お分かり頂けましたでしょうか? 日に当てなくても壊れる太陽電池??

 エネコートテクノロジーズのフィルム状ペロブスカイト太陽電池。NEDO ブースの一
角に、鉄道模型と一緒にライトに照らされた 30cm 超のモジュールが展示されてい
たのですが、緑色のトップ層 (の下でしょうか?) が見事に全面まだら模様に変色し
ている様子が観察されました。

 昨日に続き、フィルム状ペロブスカイト太陽電池の開発現状を垣間見た思いです。

 これ、製品になるんでしょうか?

【2025.1.30 積水化学のモジュールを見学に行きました】

東京都との港湾施設における国内最大規模のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の検証について *Perovskite
  (2024年5月24日付 積水化学工業株式会社/ニュース)
 お分かり頂けましたでしょうか? 日に当てると壊れる太陽電池??

 ちょうど今日、東京ビッグサイトにて会議があったため、帰りがけに東京国際クルー
ズターミナルへ立ち寄ってみました。積水化学工業のペロブスカイト太陽電池モジュー
ル。ぱっと見にはまずまず良さそうに見えますが、近くに寄りますと、18 パネル中少な
くとも 5 枚はストライプの一部に白化 (ブリーチング) が観察されます


 *直列接続の場合、面内に一ヶ所でも不良セルがあるとモジュール全体がほとんど
   発電しなくなる恐れがあります。最悪の場合、ここがホットスポットになって火事に
   なる恐れもあります。

 更に目を凝らしてよく見ますと、フィルム表面の汚れに隠れていますが、斑 (まだら)
状の黄変がかなりの面積に広がっています

 
 実証試験の場所は、ほぼ西向き
垂直設置。日陰部分は目視で損傷は見当たりま
せんが、日が差す側に置いたパネルは何らかしらの不具合を抱えています。これ、ま
だ 1 年も経っていませんよね?

 かかる状況は日夜ペロブスカイト太陽電池研究に取り組んでいる我々からすれば、
ほぼ「予想通り」で意外性は無いのですが、ありのままに「10年の耐久性を目指す」の
ではなく、「業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認」と平気で言ってのけるところ
が関西のノリなんでしょうか?

 国は本事業にこれから 1,000 億円以上の資金を投入するわけですから、もし仮に嘘
を付いて補助金を得たとすれば、いずれ罰が当たると思います。

 いや、ほんとに。

【2025.1.30 記事の御紹介】

積水化学工業、ペロブスカイトの量産化へ新会社 *Perovskite
  (2025年1月30日付 Housing Tribune)

総額3145億円を投資 積水化学が「曲がる太陽電池」を事業化へ *Perovskite
  (2025年1月28日付 財界オンライン)

積水化学が「1GWペロブスカイト太陽電池工場」、技術者の確保もカギ *Perovskite
  (2025年1月9日付 日経BP)

 お疲れ様です。 :)

【2025.1.28 中国製? or 日本製?】

 情報の点と点が繋がって、朧気ながら全貌が見えてきました。今日取り上げるのは
株式会社 SILFINE JAPAN (シルファインジャパン)。薄型単結晶シリコンを用いたフレ
キシブルソーラーパネルを販売しているのですが、『「軽い・薄い・曲がる」というペロブ
スカイトライクな特徴を実現した
』とある通り、ペロブスカイト太陽電池を意識した PR
をされています。

 ホームページを拝見しますと、会社名に JAPAN を冠するものの『年産1.5GW規模の
海外製造工場とのタイアップにより誕生した日本国内の「ファブレスフレキシブルソー
ラーパネルメーカー」です』とある通り、製造は恐らく中国です。

 また本会社、住所地は福岡の新宮 (しんぐう) で、ごく普通の住宅街の一角にあり、
工場ではなく事務所だけが置かれているものと思われます。

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 前置きが長くなりましたが、先日中国製フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の日
本進出のリークネタを披露しましたが、事業開始の予定地が「新宮」なのも偶然では
無いと思われます。即ち、実際に日本への投資は行わずに、出先の販売拠点だけを
置き「国内メーカーとして日本市場に最適な製品を設計/提供」するのではないかと予
想します。

 ちなみに本会社、主要取引先の筆頭が中国 UtmoLight 製ペロブスカイト太陽電池
の輸入販売を手掛ける丸紅エネブルというところも符合します。

 この先、こうした微妙な「日本メーカー製(海外OEM生産)」ペロブスカイト太陽電池
が着々と増えていくものと思われます。


 X(旧twitter)あります。

【2025.1.24 来客にて】

 ペロブスカイト太陽電池の蒸着で有名な Henk Bolink 先生です。
 IPEROP の帰りにお立ち寄り頂きました (ありがとうございます)。

【2025.1.21 IPEROP25 Day2】

 幹事役の伊藤先生、若宮先生、大北先生、大変お疲れ様でした。

【2025.1.20 IPEROP25 Day1】

 初日基調講演は Kovalenko, Maksym からの量子ドットペロブスカイト材料の安定
性と発行特性他。続く Chueh, Chu-Chen (C-C-C) 教授は 2D ペロブスカイト材料に
関するマシンガントーク。ここまで、どちらも太陽電池特性に関する情報はなし。


 朝一の聴講者は実数で 90 人弱。→最終的に 120 人程度へ。

【2025.1.16 ペロブスカイト太陽電池モジュールの御紹介2】

 先日、昨年末に御紹介した中国製フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の続報が
飛び込んできました。開発は順調に進んでいるようで、これと同じものが今年 5 月か
ら福岡工場で量産される予定です。*噂情報です

 そもそも論として、製造はともかく「一体誰が買うのか?」問題があるわけですが、そ
れを差し置いても、いずれ価格面で日本より圧倒的に安い (中国製?) フィルム状ペ
ロブスカイト太陽電池が市中に出回ることを思いますと、再エネの「切り札」「救世主」
と持てはやされる昨今の日本の取り組みは、むしろ「風前の灯火」に見えてしまうのは
私だけでしょうか?

 絵に描いたような「井の中の蛙」状態。

【2025.1.17 AGEM2005 Day2】

 写真右下の台南駅(臺南火車站)は 1900 年に着工し、1908 年に開業しました。現
在の駅舎は 1936 年 (今から 89 年前) に完成した 2 代目で、国の文化財「国定古蹟」
に指定されています。 by Search Labs | AI による概要

 今日の午後台北に移動して一泊し、明日朝のフライトで帰国します。

【2025.1.16 AGEM2005 Day1】

Advanced Green-Energy Materials Conference *DSC, Perovskite
  (先進グリーンエネルギー材料会議)
  (2025年1月16日 Tainan, Taiwan)
 ホテルも会場もエアコン (冷房) 掛かってるんですが… :)

【2025.1.15 移動日】

 飛行機→電車→電車(新幹線)→電車→徒歩→ホテル

【2025.1.8 論文の御紹介】

Inorganic CsSnI3 Perovskite Solar Cells with an Efficiency above 13.6% *Perovskite
  with Varied Stoichiometries and Morphologies Stressed at Various Condit
  (効率13.6%以上の無機 CsSnI3ペロブスカイト太陽電池)
  Ha. Yu, Z. Zhang, H. Dong, X. Li, Z. Liu, J. Huang, Y. Fu, Y. Shen and M. Wang
  (2023年11月14日付 ACS Energy Lett. 2024, 9, 12, 5870-5878) DOI: 10.1021/acsenergylett.4c02742

 こちらは鉛フリーの CsSnI3 ペロブスカイト太陽電池で効率 13.6% を記録した論文。
先に御紹介した AgBiS2 10.2% 論文と同じグループで、武漢大学の Mingkui Wang 教授
からの報告です。

 金属錫や錫の無機化合物自身に毒性はありませんが、かつての水俣病がそうであ
るように「有機水銀は使っていません」「製造工程上、有機水銀はできません」と言って
水銀廃液を海に垂れ流し続け、とてつもない環境汚染と健康被害をもたらしたことから
しますと、鉛を錫に置き換えたところで安全と言い切るのはかなり問題あると思われます。

 *「水俣病の原因究明 (環境省)」は、結構読み応えのある解説です。

 もともとこうした錫/鉛混合系のペロブスカイト太陽電池はタンデムデバイスにおける
バンドチューニング技術として早瀬先生が提案されたものであり、毒性を緩和するのが
目的では無かったのですが、勘違いしている先生がいることも確かです。

 いずれにせよ、初期効率はともかく、耐久性 (特に耐酸素、耐湿度) に問題があるこ
とは従来通り。


 鉛ペロブスカイト太陽電池よりはマシですが...

【2025.1.6 仕事始め】

 年末に公開すべきか逡巡したのですが、時代の歩みを止めることはできず、いずれ
明らかになる話なのでここで初めて披露致します。世間の注目はペロブスカイト太陽
電池ですが、かつ我々も日々全力でこのテーマに取り組んでいるわけですが、それと
平行する形で次に来るであろう太陽電池を模索しています。強いて言うなら「次世代
ペロブスカイト型太陽電池」。組成は AgBiS2 (cubic) で、略して「ABS」と呼んでいます。

 驚くべきはそのポテンシャルで、短絡電流密度が 31 mA cm−2 を超えます (1200
nm まで光吸収があり、かつ電荷分離が出来ています)。現在世界最高効率のペロブ
スカイト太陽電池でも 26 mA −2 止まりなので、残る課題は電圧、即ちこの材料と組
み合わせるホールコンダクタの探索ということになります。

 この化合物ですが、2013 年という比較的最近、量子ドットを用いた ABS 太陽電池
が効率 0.53% という報告がなされたのを始まりとして、長らく数 % 台で停滞していた
のですが、昨年 7 月に突然 10% を超えた値が中国から発表されました。

 日本での取り組みは、当時宮坂研ポスドクの Ajay 氏が手掛け、これを引き継ぐ形
で昨年 Cojocaru 氏が溶液法を確立しました。両名とも、今は瀬川研の准教授として
活躍しています。かつ、彼らが唯一だと思います。
3/26 日本化学会春の年会で披露されますので、お楽しみに 訂正:同日、先約の別会議日程と重複のためキャンセルとなりました (残念)

Solution-Crystalized AgBiS2 Films for Solar Cells Generating *Perovskite
  a Photo-Current Density Over 31 mA cm−2
  (31 mA cm−2 を超える光電流密度を生成する溶液結晶化法による AgBiS2 太陽電池)
  L. Cojocaru, A.K. Jena, M. Yamamiya, Y. Numata, M. Ikegami and T. Miyasaka
  (2024年5月15日付 Advanced Science) DOI: 10.1002/advs.202406998

 そうこうしているうちに、10 月にはスペインのグループが更に効率を上げて 10.8% と
いう報告をしてきました。(1) 鉛フリー(2) 抜群の耐久性を有し (水に濡れても問題
なし)、(3) 印刷で製造可能 (かつグローブボックスやドライルーム不要) ということで、
俄然期待が高まります。

 デバイス 1 m2 当たり 0.2g と僅かですが銀 Ag が含まれるのも利点で、使用済みと
なって廃棄される時には必ずこれを回収・リサイクルする動機付けにもなります。

 今年中には間違い無く 11% を超えるでしょうし、12, 13, ... と続いて 15% を超えるよう
でしたら、多くの課題と問題を抱える今のペロブスカイト太陽電池の代替となることも
夢ではありません。 *ChatGPT による解説はこちら

 色素増感太陽電池の出現から 34 年、ペロブスカイト太陽電池が効率二桁を記録
してから 13 年、技術の世代交代は着々と進んでいます。


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【2025.1.6 続・お正月】

雪、雪、雪…弘前も記録的な大雪に *Snow
  (2025年1月4日付 web東奥)

JR東日本、奥羽本線の大館〜弘前駅間で運転見合わせ 大雪の影響で当面の間 *Snow
  (2025年1月5日付 RAB青森放送)

苦情・要望1,800件以上…桜の名所・弘前公園が倒木などで大部分“立ち入り *Snow
  禁止”に 1月の観測史上最大積雪も観測した青森県弘前市
  (2025年1月6日付 RAB青森放送)

 私の実家の弘前は記録的な大雪のため、正月から一週間経過した今日になっても
まだ JR 線 (奥羽本線) が動かず、陸の孤島状態に。

 降雪量 (気象庁調べ) は年を追うごとに少しずつ増しており、我が家では FF 式ファ
ンヒーターの排気管が埋もれないよう、高さを 1.5 m ほど嵩上げしていました。


 昨年はロンドンでも 11月に雪が降り始めましたし、「地球温暖化」って一体何の話?

【2025.1.1 お正月】

 そう言えば今年の干支は私と同じ巳年でした。TVを付けたら新年早々ペロブスカイ
トが話題に取り上げられていました。どちらも「あああ」。
 皆様、よいお年を!