色素増感型太陽電池レポート
Q:感想・質問その他なんでも
【1】
個人的には化粧品の話に興味を持った。今では様々な色のものがあってあたり前だが、微妙な色をつくるのにも日々研究されているのだなぁ…。TiO2,
ZnO
などはそれこそ電池など工業的なところで使われるものであると思っていたが無機顔料として身近で使われている。無機顔料は有機顔料に比べて安全とされるが肌の上で反応して悪影響を与えたりするのでは?
いくら細胞膜の外にあれば酸化チタンの触媒活性は問題ないと言っても不安なことには違いないので、実際にはシリカで表面を被覆したものが用いられます。この時、色調も変化してしまうため、いろいろと困ったりします。TiO2,
ZnO の他にも CeO2
も紫外線遮蔽材料の候補として使われたりします。
そうそう、TiO2
は食品にも添加されているの知ってました?チョコレート菓子
【2】
インターネットでいろいろ調べてみると佐藤研のホームページが一番充実していました。これからも頑張って下さい。
ありがとうございます。この“頑張って”という言葉は非常にクセモノでして、日本人は良く好んで使いますが、言われた方はほんと大変なのよ(笑)。
【3】
太陽電池は自分の専門外であるが、話そのものは今の時代にマッチしていると感じた。あと何年かで、それが普通になるのであろうか?って、自分で勝手に想像しました。
授業そのものは、自分の専門外だけあって、頭になかなか入りにくくあまり良く覚えていません(すいません)。ただ、電位-pH
の話は個人的に役立ちました。実験計画を立てる際、電位-pH
は物質を評価するために大事だと感じた。それにより、効率よい実験が出来ると改めて実感した。
話に採り上げた色素増感太陽電池も、いずれ量産化されて製品→商品となる日が来るかもしれません。ちょうど「去年はエアコンを買ったから、今年は太陽電池パネルにしようかしら?」みたいな感覚で。
【4】
「ラ・ラ・サンシャイン計画」という計画が非常に印象に残っています。興味深い内容でネーミングも親しみやすくてとてもよかったです。今後ホームページを時々見ようかなあと思っています。
すごい計画でした(笑)。いつか、U助手がエラくなるか別な研究室に移れたら必ず実現したいと思っています。
【5】 質問
・理論的な発電効率が 33%
とありますが、この値はどのように算出されたのでしょうか?
私も教えて欲しい。提唱者の Gratzel
先生が最近ホームページに解説を書かれていたのですが、今確認したところ消えてしまっておりました。「〜したら〜%まで上がって、〜を改善したら
30% 台まであがって」というかなりアバウトな説明でした。
・電池の寿命はどの位なのですか?
文献に見られるのは 10,000
時間ですが、伝聞によりますと 12,000
時間までは実証されているそうです。
・チタニアの膜厚はどの位が最適なのですか?
厚ければ厚いほど。実際には 15
μm程度でしょうか?それ以上になるとクラックが入ったりして成膜が困難になります。
・この太陽電池の中で最も重要な地位を占めるのは、より電子を放出しやすい色素の開発にあると思うのですが、Ru
錯体以外の色素について研究している例はあるのでしょうか?
Os
錯体。という話は置いておいて、ポルフィリン系・シアニン系等は一通り試されています。最近ではスチリル
ベンゾチアゾリウム プロピルスルフォネート(BTS)なんてものも報告があります。
・電子の移動の律速過程はどの部分にあるのでしょうか?
これがはっきりと解明されていないことがブレークスルーできない原因ではないでしょうか?個人的にはここだと思う所がありますが、遠慮しておきます。
【6】
ご自身の研究を紹介する形での講義だったと思うのですが、「こういう研究のやり方をすべきなのだろう」と感心し、同時に自分のやり方の稚拙さを痛感しました。
参考にさせていただいた内田先生のHPの「発電の仕組み」の下の方の解説で「酸化」と「還元」が逆に使われていると思ったのですが…。私の勘違いでしたか?
いやー、そこまで褒められると何ですが、ちゃんと前置きしました通り今回の感想は採点対象外ですからね(笑)
「酸化」と「還元」が逆になっているのはつい最近気付きましたが、お恥ずかしい、申し訳ありませんでした。どうやらウチの学生連は、かなり前から知っていたようですが、、、ちゃんと教えろよぅ!
【7】
私は水溶液系ではないのですが、材料作製の際、沈殿法を用いているので自分の研究にもいかせそうな話題をとりあげていただいて、かなり為になりました。
雰囲気だけでも感じ取ってもらえれば幸いです。
【8】
私は現在、触媒の研究をしています。触媒を研究している上で、結晶径が1つの重要な要因となります。特に酸化鉄の微粒子の調製法は興味深いものがありました。今後の研究の参考にさせていただきたいと思います。
酸化鉄の湿式合成は工業的には磁性粉が有名ですが、日本のお家芸の一つです。
【9】
残りの講義時間の為か、プリントに記載の講義時間分の話が聞けず残念でした。とはいっても、現実にはこの分野の研究をしていない私にとって、講義内容は難しいものでした。しかし、水熱合成にやや興味をもっていたので、その概要はつかめ、機会があったら、水熱合成法を用いてみたいと思いました。
1999 年は 4 コマあった私の授業が 2000 年に
2
コマに減らされたのは教授の陰謀です(笑)。まあね、世の中狭いのでどこでまた関わりを持つか分かりません。機会があったら、を楽しみにしたいと思います。
【10】
私の研究内容と同じであるため、知っている事を書くとなると多くなってしまうので、日頃疑問に思っていることを質問形式で書こうと思います。
・まず、TiO2 多孔質膜についてですが、私は現在 solaronix
社のチタニアペーストの他に P-25
や石原産業のチタニア粉末からも自作のペーストを作ろうとしているのですがなかなか上手くいかないんですよね。ツブツブが残ってしまうのですがこれは練り方が足りないのでしょうか...。これがまた手が痛くなるしつかれるしめんどくさい作業なんですね。
・次にそのチタニアペーストの導電膜ガラスへの塗りつけですが、私はスコッチテープ等で段差をつけガラス棒でサッと引くシンプルな方法を用いているのですが、見た目にはムラを感じるのですよ。チタニアの膜厚はやはり均一な方が良いのでしょうか?それともそれほど気にするファクターではないのでしょうか?ここが効率に大きく影響する部分であるなら、スピンコーター等を用いることも考えなくてはいけないのでしょうけどどのようにお考えでしたでしょうか。
・次は焼結方法ですが、これも多孔質膜の状態には大きく影響してきそうな部分ですよね。私はこの温度制御に関しては今思うとかなりズサンだったような気がするのですが、これの最適化は当然必要なことなのでしょうか?
・最後にチタニア膜の前処理に関してですが、あの事実はHP上でコメントしていたように「大した差」ではないという立場でそれほど気にしなくても良いということになるのでしょうか。
他にもいろいろありますが今日はこの辺で…。
もしよろしければ何かご助言頂けると助かります。
質問、たくさんありがとうございました。どれもおろそかにできない、体験者のみが知る知りたい部分ばかりですが、、、上記の酸化チタンペーストの調製に関するノウハウはちょうど私が約1年かけて取り組んだ課題でもあります。おいおい
web
で公開していきますが、お急ぎでしたらどうでしょう、同じ研究所ですから見学に来ませんか?
どのファクターも最終的には変換効率に影響を与えてくるわけですが、手を抜いていい所とそうでない所があると思います。何気ない工程が意外と重要だったりします。隠されていると言ってもいいと思います。酸化チタンの種類も処理の仕方も、ちょっとの違いで効率で数倍は簡単に差がつきます。
更に問題なのは、ラボスケールならいざ知らず、量産化しようと考えると山のように問題が出てきます。大学の中だけで研究していると何が問題なのか決して気付くことはありません。このへんについても公開できる範囲でどんどんopenにしていきたいと思っております。
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