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エネルギーと環境の共存(28)パート4−京都議定書発効へ/再生可能エネ
ルギー(下)
(2004/12/2付
日刊工業新聞13頁)
日本、ドイツ、米国を中心にした太陽電池の発電量は、98年以来、世界平均で3
5%以上の増加を示す。世界の半分弱を占める日本にとって、太陽光発電は再生可能
エネの中核的存在として一層の普及と共に、国際展開にも拍車がかかる。国のサン
シャイン計画から30年、太陽電池は補助なしの自立に向け、今後は発電所までも視
野に新フェーズに入ってきた。
風力やバイオマスと比べ、まだコスト高の太陽光発電だが、国は12年続けた住宅
向け補助を05年度で打ち切り、フィールド事業や地域での複合エネへの取り組みだ
けとする。ただ電力事業が余剰電力として1キロワット時20円台で買い取る制度が
続く限り、住宅用需要はダウンしないだろう。
「買い取り価格を下げていくこともある」。電力業界は経済産業省・資源エネル
ギー庁へけん制をかけるが、それは電力事業者に一定比率で新エネ導入を義務付ける
RPS法の見直しが背景にある。2010年で1・35%の導入を義務付ける目標に
向けRPS法は2年目に入っているが、05年度からは見直し議論が始まる。「もっ
と新エネ導入比率を上げるべきだ」の声も高まるが、電力の声に押され「現状では1
1年以降の比率は横ばい」(関係者)の方向だ。
太陽光発電は世界一のシャープをはじめ、日本メーカーは日本市場と海外市場を
半々にとらえている。日本市場はさらに伸びるだろうが、それ以上に独など欧州連合
(EU)や中国、無電化地域への広がりがある。
シャープは生産規模が6月に31
万キロワットになり、05年に京セラは24万キロワット、三洋電機は15万キロ
ワット、三菱電機は13万キロワットへとそれぞれ増強投資を展開する。
経済性を一層改善し、太陽光発電の利用拡大を目指した2030年へのロードマッ
プをエネ庁と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は策定した。累計導
入量は1000万キロワットだ。「2010年の482万キロワットは通過点。10
00万キロワットの持つ意味は大きい。全電力の10%をカバーするのだから」。黒
川浩助東京農工大教授は、ここで一人前のエネルギーに育つと見る。
現在の1キロワット時50円以上の価格を2010年で電灯電力料金並みの23円
に、2030年にはさらに汎用電力並みの7円程度に引き下げるための高性能化、製
造プロセスの革新や2次電池の導入などは命題。「マイクログリッドの中で生かすに
しても、系統へつないでいくにしても、蓄電池は新エネ導入に不可欠」(荒木由季子
新エネルギー対策課長)なのだ。
原料のシリコン不足問題もある。周辺設備のコストが下がるにつれ原材料コストの
比率がアップしている。ソーラーグレードのシリコンを量産する企業の設備投資を促
すためにも、安定供給はポイントだ。
メーカー側にも問題がある。太陽電池を生産した後は工務店、設備業者任せという
傾向が依然強い。本当に普及を目指すなら、現場を十分理解して設備を完工させる姿
勢が求められる。プロセス技術では200マイクロメートル以下まで薄くなってきた
シリコンをさらに50マイクロメートルまで超薄膜化するのもテーマ。「今後の強敵
は中国だろう。そして100年単位で見てトータル資源が減るのを避け、社会エネを
太陽電池で供給するリサイクル主体の事業として展開していかないと」と、黒川教授
は今後を見すえる。
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凸版印刷−日本電気システム建設、電子ペーパー看板を展示会に設置
(2004/12/1付
化学工業日報10頁)
http://www.nesic.co.jp/news/20041130_2.html
凸版印刷と日本電気システム建設が共同開発した電子ペーパー広告看板が、きょう
一日から東京ビッグサイトで開催される「NEC C&Cユーザーフォーラム&iE
XPO2004」で参考展示される。
電子タイルを二十二枚使ったタイプで、ディスプレーのサイズは748×520ミ
リ。インフォメーションデスクに設置してブースの案内などに活用するもので、低消
費電力での動作をアピールするため太陽電池で稼働させる。
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広栄化学・長尾雅昭社長
(2004/12/1付
化学工業日報1頁)
▽…「太陽電池材料など将来が楽しみな新製品がいくつか出てきた」と明るい表情
なのは、先ごろ九月中間決算を終えた広栄化学工業の長尾雅昭社長。大胆な事業構造
の改革が奏功、業績がV字回復の軌道に乗り始めるとともに、新製品の手応えもはっ
きりしてきたから。これらは「当社が歴史と経験を持つ含窒素化合物の技術を用いた
もので、いい位置にいると思う」と市場評価も順調に進んでいる様子。
▽…今期からスタートした中期3カ年経営計画でも、新製品はコスト競争力強化と
並ぶ主要目標の一つで、期間中に30億円の寄与を見込む。「収益を支えるようにな
るまでには時間がかかるが、少しずつ利益に貢献していく」という。既存コア事業の
中間体でも新たな品目が加わっており「上期までは予定通り」に進んでいる。
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高知工科大、産学官連携フォーラム発足、酸化亜鉛の用途開発本格化
(2004/12/1付
化学工業日報10頁)
高知工科大学総合研究所が酸化亜鉛(ZnO)の多面的な用途開発を本格化する。
産官学連携による研究開発組織「ZnOフォーラム21」をこのほど発足させたもの
で、マテリアル・デザインセンターの山本哲也教授が中心となって2005年度から
具体的な活動を開始する。酸化亜鉛はフラットパネルディスプレー(FPD)向け透
明導電膜のほか薄膜トランジスタ(TFT)、太陽電池、発光ダイオード(LED)
などへの適用が期待されており、同フォーラムでは明確な用途を設定して開発に取り
組む方針。
十一月二十二日に都内で開催された発足会には約百七十名が参加。高知県で地域結
集型共同研究事業に参加しているカシオ計算機の羽方将之常務が産学連携の意義や最
新の成果を交えた基調講演を、山本哲也教授は新技術の提案を含めて酸化亜鉛の応用
に関する報告を行った。また、四国経済産業局の土居修身参事官ら六名によるパネル
ディスカッションで酸化亜鉛が持つ可能性やフォーラムの活動の方向性などを討議し
た。
新規用途の開発ではFPD向け透明導電膜が先行しており、住友重機械工業などと
1メートル角のガラス基板への形成に成功。資源面で制約があるインジウム系材料の
代替を目指すもので、低温成膜が可能な反応性プラズマ蒸着法を用いている。低抵抗
化に課題を残すものの、平滑性などに優れていることを確認しており、液晶のみなら
ず有機EL(エレクトロルミネッセンス)にも応用が見込める。
透明導電膜は可視光領域における高透過率が求められ、これは膜の緻密化によって
90%以上が得られる。さらに長波長領域の透過率も成膜プロセスにおける酸素流量
の制御で向上が可能であることを見いだしており、薄膜型太陽電池への応用で有用と
みている。
カシオ計算機などとは高性能TFTの開発に取り組んでいる。酸化亜鉛TFTは従
来のアモルファスシリコンに比べて電子移動度を大幅に高めることが可能なためだ。
このほど1ボルト・1秒当たり30センチメートルの電子移動度のTFTを形成し
て、セグメント型液晶セルの駆動に成功した。今後は同20センチメートルまで向上
させるのが目標。
一方、酸化亜鉛が半導体の基本構造である四配位構造であるとともに、ドーピング
によって電気的、光学的特性を制御できる点に着目してLEDなどへの応用にも期待
がかかる。課題は酸化亜鉛のp型化で、膜の高品質化などと合わせて欧州などでも開
発が活発化している。山本教授はn型化で用いたガリウム、アルミニウムのドーピン
グで得られた知見を生かし、同時ドーピング法と呼ばれる手法でp型化に取り組んで
いる。
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iPod用ポータブルソーラー充電器、フォーカルポイントが発売
(2004/12/1付
Nikkei BP)
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/pc/346857
フォーカルポイントコンピュータ(本社:東京都港区)は2004年11月30日、太陽光
で蓄積した電気をiPodに充電するポータブルソーラーバッテリー「Solio」
を発表した。持ち運び時は携帯電話程度のサイズになる小型機器。価格はオープン
で、予想実売価格は1万3000円前後。12月中旬発売予定。
英Better Energy
Systemsが開発した製品。3枚の太陽電池パネルを開いて光を受
け、いったんSolio本体内のリチウムイオンバッテリーに充電する、その後、付属
ケーブルからDockコネクタを経由してiPod本体バッテリーに充電する仕組み。Solio
本体バッテリーの容量は1600mAhで、iPod再生では約10時間分を供給可能。
太陽光のほか、ACアダプターからの充電もできる。フル充電時間は太陽光で約8〜
10時間、ACアダプターで約4時間。充電状態はLEDで確認できる。本体寸法は高さ
120×幅65×厚さ34mm、重さは約165g。オプションとして、携帯電話や電子手帳、携
帯ゲームなど、iPod以外の携帯機器向け接続アダプターも発売していく予定。
■問い合わせ先
・フォーカルポイントコンピュータ 電話03-5444-8011
・フォーカルポイントコンピュータのWebサイト http://www.focal.co.jp/
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Building with
solar
(2004/11/29付
Toronto Star.com)
http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=thestar/Layout
/Article_Type1=Article=1101682208226_pageid=970599119419
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日本化学会、26−27日に技術開発フォーラムを開催
(2004/11/24付
化学工業日報11頁)
日本化学会産学交流委員会は二十六日と二十七日の二日間、和光純薬湯河原研修所
(静岡県熱海市)で技術開発フォーラム「第3回柳田祥三フォーラム」を開催する。
大阪大学の柳田祥三名誉教授を塾長に人工光合成、光触媒、半導体超微結晶、色素増
感型太陽電池、マイクロ波応用技術、希土類発光体などで「化学が拓く電子・光物性
機能とその応用」をテーマに情報交換を行う。
プログラムは二十六日が「電子・光物性のニーズとマーケット」(国際基盤材料研
究所代表取締役会長・佐々木正氏)、「高分子EL・課題と将来展開」(住友化学工
業技術・経営企画室主席部員・大西敏博氏)、「マイクロ波とフラクタル結晶の相互
作用・新規現象とその応用」(大阪大学接合研究所教授・宮本欽生氏)、「強発光物
質の設計とその応用展開」(東京大学大学院薬学系研究科教授・長野哲雄氏)。
二十七日が「ナノカーボンにみる電子物性と応用展開」(信州大学大学院工学研究
科教授・遠藤守信氏)、「希土類イオンが演ずる光機能・強発光性と光磁気特性」
(関西学院大学理工学部客員教授・大阪大学先端科学イノベーションセンター特任教
授・柳田祥三氏)。
対象は法人正会員の企業に勤務する30−50歳前後で、グループリーダー、主
任、マネージャーなど。参加費は2万円、このほかに初参加の場合は2万円。問い合
わせは日本化学会産学交流委員会「柳田フォーラム」係(電話03−3292−61
63)まで。
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水戸―茨城大・筑波大など技術交流会、来月、中小を対象に
(2004/11/24付
日経産業新聞21頁)
茨城大学、筑波大学、茨城工業高等専門学校と茨城県は十二月一日、水戸市内で中
小企業を対象とした合同技術交流会を開く。中小企業が活用を期待できる三つの技術
シーズを紹介する。
合同技術説明会は昨年度始まり、今回は4回目。各大学、高専の共同研究センター
が産学連携の現状について解説する。技術シーズとして、茨城大の金子正夫教授が新
型の太陽電池について、筑波大大学院の石田政義助教授が燃料電池と水素技術を組み
合わせた新しいエネルギーネットワークについて紹介する。
会場はホテルレイクビュー水戸。技術シーズの紹介後、交流会(参加費1000
円)を開く。問い合わせ先は茨城県知的所有権センター((電)029・264・2
211)
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物材機構、マリモのようなナノ炭素材料開発−航空機や燃料電池向け
(2004/11/24付
日刊工業新聞1頁)
“マリモのようなナノ炭素材料”を、物質・材料研究機構物質研究所の安藤寿浩主幹
研究員と中川清晴特別研究員らが開発し「マリモカーボン」と名付けた。ダイヤモン
ドを核に用いたのがポイント。触媒を変えることによりカーボンナノチューブのほ
か、カップやコインが積層したような形状のナノフィラメントを高密度で球状に生成
できる。不純物が少ないのが利点だ。ジェンテック(横浜市港南区、石田俊之社長、
045・833・7196)に委託して製造装置を製作し、航空機材料やキャパシ
ターへの実用化を目指す。
マリモは小さな糸状の藻が水の流れなどでからまりあって球を作る。中に石が入って
いるケースが多く、石に付着して長い年月をかけて20センチ―30センチメートル
の球状になる。マリモカーボンもナノチューブやナノフィラメントが絡まって球状に
なっているが、こちらの大きさは1マイクロ―10マイクロメートル(マイクロは1
00万分の1)。石の役目を果たしているのが10ナノ―100ナノメートル(ナノ
は10億分の1)のダイヤモンドで、表面を酸素で修飾した酸化ダイヤモンドを触媒
担体として用いる。
これに鉄やニッケルを担持、炭化水素系のガス中で500度―700度Cの熱化学気
相成長(CVD)法で反応させると、カーボンナノチューブやカップ積層型カーボン
ナノフィラメントが酸化ダイヤモンドの表面から成長する。パラジウムを使うとコイ
ンが積み重なったようなナノフィラメントになる。
チューブやフィラメントの直径は1ナノ―10ナノメートル、長さは50マイクロ
メートル程度で、通常のCVD装置では球状になりにくいため、マリモカーボンが浮
遊しやすいように工夫した。その結果、全体の約90%がほぼ球状となり、残りも楕
(だ)円や三角形が多く、副反応のススがほとんど出なかった。ススが少ないと手間
のかかる精製が不要で実用面でのメリットは大きい。反応条件などにより径の制御や
大量合成も可能で、電気を通すことから金属的な性質を備えていることも確認した。
このため、他の材料と混ぜて航空機や自動車部材に使ったり、燃料電池用電極やキャ
パシター材料への応用が期待できることから、真空試作機ベンチャーのジェンテック
に委託して日産100グラムの生産装置の製作を検討中。「3年程度で実用化のめど
を付け、希望者に材料を提供できるようにしていきたい」(安藤主幹研究員)として
いる。
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MIT、新型電源デバイスを開発、ほうれん草の光合成用い発電
(2004/11/24付
化学工業日報9頁)
「ほうれん草」の光合成の仕組みを用いた新型電源デバイスの開発に、米・マサ
チューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが成功した。植物の持つ光合成を用
いた電源デバイス開発は、これまで世界中で試みられてきたが、発電に成功したケー
スはなかった。同グループによると、実用化にはまだ10年以上は必要とされている
が、他の電源に比べて環境負荷が小さく、圧倒的に低コストであり、太陽電池や燃料
電池などを超える新型電池としての開発の一歩が踏み出されたといえよう。
MITの研究グループの成果は、最近の米化学会誌「ナノレター」に掲載された。
それによると、光合成発電の仕組みは、ほうれん草のデタージェント・ペプチドと呼
ばれるたん白質成分を用い、光合成のメカニズムを利用して行われた。
このたん白質複合体は、ほうれん草をすり潰し、分離精製して得るとともに、この
成分を有機半導体で挟み、さらに電極を形成したガラス基板上にセル化した。発電
は、自然光ではなくレーザー光を用いて行ったところ、微弱な電流の発生に成功し
た。たん白質複合体は、最長3カ月間、活性を持続させることが確認されている。
光合成を用いた発電は、世界の研究者が取り組む夢の発電システムであるが、生体
物質と電極やガラス基板などの共存が難しかったことが、実現できない大きな理由と
されてきた。詳細は明らかではないが、同グループはこの対策として有機半導体をた
ん白質との間に介在させることによって、解決できたとみられている。今後は、レー
ザー光に替えて自然光での発電を試みる見通しである。
環境対応の新電源は、太陽光や風力、地熱、波力など多様な仕組みが実用化され始
めているが、光合成は未開拓の分野であり、複合たん白質の最小単位の出力は小さ
い。しかし、多数重ね合わせることなどによって、携帯機器の電源としての利用が期
待されている。
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R&D特集 第一工業製薬・佐伯周二専務技術開発本部長
(2004/11/22付
化学工業日報31頁)
当社は今年七月から既存事業領域の研究開発を行う「技術開発本部」と、エレクト
ロニクス関連を中心とした新規事業領域にかかわる研究開発を担当する「電子デバイ
ス材料事業部」にR&D組織を再編した。この体制のもとに、新製品の継続的上市を
達成する方針である。
当社は新中計のなかで、創業以来の社訓に由来する研究エンジン思想のもとに顧客
満足を実現して技術立社で前進する、との経営理念を掲げた。顧客の望む高品質製品
をより早く、リーズナブルな価格で提供するためには研究開発部門がそのエンジンと
なることを表現したものである。
組織のうち技術開発本部は界面活性剤、水溶性高分子、樹脂添加剤、機能性ウレタ
ン、水系ウレタンの既存コア事業分野をサポートし、付加価値を高めた製品開発を担
当する。既存事業セグメントの枠内に入らない開発や、各事業領域で培った技術力を
結集しなければ達成困難なテーマに関しては、技術開発本部に設置した新事業推進部
で開発を進めている。また、新製品化率を早期に高めて売上高を拡大していくため
に、社長を委員長とする「R&D企画委員会」を発足、定期的に委員会を開催して開
発テーマを審議する作業を始めている。それ以前から手がけたものを含むと医薬原体
・中間体へのアプローチやセルロース系新製品の探索など新しいテーマを取り上げ、
それぞれ事業化に向け動き出した。
一方、電子デバイス材料事業部は文字通りIT関連分野向けの新材料の開発を志向
する。当社にとって比較的新しい領域であり、色素増感型太陽電池の開発はその一例
だ。この分野では当社の技術に加え、導電性ペーストを事業化している京都エレック
ス、射出成形用ペレットを事業化している第一セラモなどグループ企業が蓄積してい
る技術を結集することも重要と考えており、総合力で半導体やディスプレー材料関連
の開発に取り組んでいく。
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R&D特集 日本化薬・北澤英俊常務経営戦略本部長
(2004/11/22付
化学工業日報23頁)
技術融合を武器にニッチ市場で成長を目指すというのが当社の事業戦略であり、成
長分野として「情報通信」「医療」「安全」をターゲットにしている。“小さな池の
大きな魚”になるという戦略上、いくつ池を持てるかが重要であり、例えば情報通信
分野では樹脂と色素などの技術を融合したさまざまな電子材料の開発に力を注いでい
る。医療分野では樹脂技術を応用した高分子ミセル化抗がん剤がある。
成長促進事業と安定収益事業の明確化や機動的な事業運営などを目的に、八月に全
社的な機構改革も実施した。機構改革で当社の戦略を端的に示しているのが機能化学
品事業本部を新設し、そのなかに電子情報材料事業部を設けたことだ。また、新設し
た経営戦略本部のなかに研究企画部と特許情報部を設置し、経営企画部と同列に位置
付けた。
電子情報材料では液晶シール材、CCD用カラーレジスト、DVD接着剤、ディス
プレー用機能フィルム、インクジェット用色素などがニッチ市場の大きな魚に育って
きた。これらの多くは樹脂と色素の技術を融合させた複合材であり、合計の年間売上
高は単体ベースで100億円を超えた。今後は製品のさらなる進化とともに、新しい
製品を拡充していくのが課題だ。
新規製品では中長期のコーポレートテーマとして、3D対応のマイクロパターン偏
光素子や色素増感型太陽電池のほか、安全分野にかかわる自動車エアバッグ用半導体
スクイブの開発などに産官学連携で取り組んでいる。
技術融合や外部との共同研究を推し進めるため、2006年春の開所を目指して新
しい研究棟を東京工場の一画に建設する。現在の機能化学品開発研究所と精密化学品
開発研究所をそこに統合するが、医薬品の研究拠点がある創薬本部の隣に建てるた
め、知的財産と人材の全社的な融合が進み、当社らしい新製品・新技術の創出が促進
されるものと期待している。
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クボタの屋根一体型システム、国内最大級の太陽光発電タウンで採用
(2004/11/22付
化学工業日報12頁)
クボタの屋根一体型太陽光発電システム「エコロニー」が、国内最大級の太陽光発
電タウン「ジョータウン りんくうハワイアンビレッジ」(大阪・泉南)で採用され
た。ジョータウンは、環境共生型住宅街の実現をコンセプトに、全区画に太陽光発電
システムを標準搭載、オール電化またはガス発電システムと組み合わせ、経済性に優
れた住環境としてジョーコーポレーションが分譲している。
エコロニーは、屋根一体型で景観性や耐震性などに特徴を持ち、すでに第一期・1
24区に採用されており、今回、第二期・134区でも採用が決まった。258区は
屋根一体型太陽光発電システムでは国内最大の分譲地。受注額は二期合わせ2億5千
万円、完工は06年十一月の予定。
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地域発のエネルギー議論を 長野でシンポジウム開催
(2004/11/21付
共同通信)
経済産業省と中部地方の地方新聞社が主催するシンポジウム「エネルギーと環境の
ことを考えよう@中部」が21日、長野市内のホテルで開かれ、エネルギー自給率が
4%と低い日本におけるエネルギー供給の在り方などについて意見を交わした。
経産省中部経済産業局の吉村宇一郎・資源エネルギー環境部長が冒頭「エネルギー
は国だけでなく、各地域レベルで考えなければいけない問題。今回のシンポを地域の
人同士が話し合うきっかけにしてほしい」とあいさつ。
続く討論会には、キャスターの草野満代さんや、信州大繊維学部の鈴木栄二教授ら
が参加。鈴木教授は「長野県の東部は本州で最も晴天率が高く、太陽光発電に非常に
適している」と地域発エネルギーの可能性を指摘した。
草野さんは「地方では発明家の人が新エネルギーの開発を行うなどしており、エネ
ルギーをキーワードにコミュニティーづくりが進んでいる」と地域の実情を紹介。約
200人の参加者は熱心に耳を傾けた。
シンポジウムは今後、広島、仙台、宇都宮、京都でも開かれる。
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水ちょっと加え、カーボンナノチューブ画期的新製法
(2004/11/20付
読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041120-00000316-yom-soci
次世代の新素材として注目される超極細の炭素素材「カーボンナノチューブ」を、
従来の約500倍の長さ、2000倍の高純度で合成する技術を、産業技
術総合研究所(茨城県つくば市)の畠賢治・主任研究員らのグループが開発した。
従来の製造法に水を微量加えるだけの簡単な方法で、長さ2・5ミリ・メートルの
単層チューブを作ることに成功。さらに、低コストで円筒形やフィルム
状など形を自在に変えられるのが特徴という。プラズマディスプレーやエネルギー貯
蔵用電源など、幅広い応用が期待されている。
ナノチューブは、700度以上に熱したガス状の炭素を、金属を含んだ基盤上に吹
き付けて合成する。同グループはガス中に微量の水を注入。チューブの
合成を阻む不純物を燃やし、10分間という短時間に効率良く高純度チューブ(99
・98%)を作ることに成功した。製造コストも従来の数百分の1に圧
縮することが可能。
カーボンナノチューブは高価で大量生産が難しく、実用化が遅れていた。同グルー
プには、米航空宇宙局(NASA)などを始め研究室や企業から、サン
プル提供の申し込みが相次いでいる。
カーボンナノチューブの発見者である同研究所の飯島澄男ナノカーボン研究セン
ター長は「待ちに待った成果。研究が活気づくのではないか」と話してい
る。
◆カーボンナノチューブ=炭素原子が網目状に並び、円筒形のチューブの形になっ
た物質。構造は竹カゴに酷似している。毛髪の数千分の1の直径でも、
鉄の約20倍の強度があり、大量の電気を蓄えることができる。半導体、次世代プラ
ズマ画面の素材、触媒など、応用範囲は極めて広い。
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住宅5社、営業損益改善――9月中間、太陽光発電付きなど好調
(2004/11/20付
日本経済新聞朝刊11頁)
住宅大手8社の2004年九月中間連結決算(積水ハウスは七月中間期)が十九日
出そろった。営業損益(一部の社は住宅部門)は積水ハウス、ミサワホームホール
ディングス(HD)、三井ホームの3社が悪化、大和ハウス工業、旭化成など5社が
改善した。注文住宅が伸び悩む中、高付加価値住宅の販売を伸ばし生産効率が良く
なった企業が収益を伸ばした。
ミサワHDが同日発表した04年九月中間期の連結決算は、売上高が前年同期比6
%増の1997億円、営業利益が1%減の134億円。注文住宅の引き渡しが多かっ
たほか、リフォーム事業も大幅増収。だが競争激化による値引き販売や資材価格の上
昇などで利益率が低下した。借入金返済で金融収支が改善し、経常利益は12%増の
92億円。
4―9月の新設住宅着工戸数は前年同期比2.6%増の約61万8千戸だったが、
住宅大手が得意とする注文住宅などの持ち家の着工戸数は0.3%減少。特色ある商
品で販売戸数を伸ばせたかどうかで、大手の決算の明暗が分かれた。
太陽光発電システムなどを搭載した住宅を強化した積水化学工業とパナホームは販
売戸数が1割弱伸びた。旭化成は引き渡し後の顧客サービスを充実した商品戦略が好
調で、販売戸数は2ケタ増。積水ハウスなどは分譲住宅が伸びたものの注文住宅が落
ち込んだ。
下期は住宅ローン減税の段階的縮小に伴い、駆け込み需要が減少する見通し。建築
資材価格の上昇などもありパナホームを除く7社が通期の販売戸数を下方修正した。
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【最新ケータイ活用術】太陽光充電器「レピタ」……電源要らず、外出時に便利
(2004/11/18付
FujiSankei Business i.14頁)
外出先で携帯電話のバッテリーが切れて困ったという経験を持つ人は少なくないと
思う。コンビニへ飛び込んで簡易充電器を買ったり、有料の充電サービスを携帯
ショップなどで利用したという人もいらっしゃるだろう。また、いまなお余震が続く
新潟県中越地震の被災地では、携帯の充電は深刻な問題だと思う。バッテリーがなけ
ればいくら高機能な携帯電話でも、ただの箱に過ぎない。
しかし、どんな場所でも、ほとんどの携帯電話の充電をしてくれるのがモバイル
ソーラーチャージャー「レピタ」という太陽光充電器。価格は1万4900円であ
る。
太陽電池充電電源装置メーカーのエム・エステクノロジー(東京都品川区)が開発
し、10月から関東地区で発売している。その名前の通り、本体パネルに太陽光を集
めて発電した電力を本体に蓄電しておき、携帯電話の充電に使うという仕組み。大き
さは幅64×奥行き106×高さ21ミリメートルというコンパクトで、重さも15
0グラムというから上着のポケットに入れて持ち運びしても抵抗はない。この本体と
携帯電話を専用ケーブルで接続して充電する。
太陽光で発電させ、それをためておくのだから、AC電源の有無など充電の場所を
選ばなくても良い。これさえあれば、こそっと盗電するといった格好の悪いこともし
なくて済む。もっとも太陽光以外にAC100ボルトの電源からも蓄電できるという
から、屋内で通常の充電器のように使うこともできる。携帯電話・PHSのほかにも
ヘッドホンステレオやデジカメ、PDAなど3ボルト系のモバイル機器にも使えると
いう。(Webプレス社編集長 曽崎重之)
【データ】リチウムイオンバッテリー使用。充放電回数は1000回。今秋からの
本格販売に合わせて本体カラーを白、シルバー、紫の3色をそろえている。携帯電話
はPDC、cdmaOne、FOMAの大半の端末に対応。エム・エステクノロジー
http://www.mstech.co.jp/
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マンディル・IEA事務局長が会見、世界規模で代替シナリオ実行を
(2004/11/17付
化学工業日報11頁)
国際エネルギー機関(IEA)のクロード・マンディル事務局長はファティ・ビロ
ルIEAチーフエコノミストとともに十五日都内で記者会見を行い、アジア・太平洋
地域を中心とする2030年までのエネルギー需給見通しを明らかにした。中国など
で大幅なエネルギー需要増、二酸化炭素排出量増大が予想され、世界各国でエネル
ギー効率を向上させるなどの代替シナリオを実行することの重要性を訴えた。
マンディル事務局長は、先月発表した2030年までを展望した「世界エネルギー
見通し」に基づき、特に世界のエネルギー需給構造に大きな影響を与えると予測され
るアジア太平洋地域に焦点を当てて報告。供給の安全保障、経済成長、環境の三つが
今後の大きなテーマとした。
ビロル氏はより具体的に報告し、現在の各国エネルギー政策が変わらないことを前
提に、世界の一次エネルギー需要は2030年までに60%増加し、石油、天然ガ
ス、再生可能エネルギーが伸びるとした。石炭もアジアで増加し、原子力は横ばい。
エネルギー需要増の三分の二は開発途上国によるものとした。
一方生産については71年から2002年までの平均で31%だったOECD諸国
のシェアは2030年までに3%に減少するのに対し、途上国は59%から85%に
伸長。中でもOPECのシェアは40%から55%へさらに高まるとした。
また、短期的にはエネルギー安全保障へのリスクが高まるとし、石油の幹線ルート
であるマラッカ、ホルムズ、スエズ、ボスポラスの四海峡における事故、テロ、海賊
行為の懸念を指摘した。
環境問題では、2030年の二酸化炭素排出量は現在より60%増加するとし、そ
の増加量はほとんどが途上国のもの。中国の排出量はOECD合計を上回る。今後、
有効な温暖化対策を進めるには途上国を巻き込むことが不可欠と指摘した。
しかし、各国がエネルギー機器の高効率化、高速鉄道網の整備、原子力発電の推進
などの代替シナリオに転換することにより、二酸化炭素排出削減、石油や中東依存度
の低下は可能とした。マンディル事務局長も、代替シナリオは太陽光発電など現在実
用化されていない技術ではなく、既存の省エネ技術の普及で十分と強調した。
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東洋合成、電解・イオン性液体事業へ参入−次世代電池市場攻略へ
(2004/11/16付
日刊工業新聞16頁)
【千葉】東洋合成工業は、燃料電池やリチウムイオン2次電池などに用いる電解液
・イオン性液体事業へ参入する。千葉工場(千葉県東庄町)内に両液の量産設備を構
築、月内に稼働させる。主力の感光材事業の製造技術を転用し、電気化学特性に優れ
た高純度品の量産体制をいち早く整え、次世代型電池市場の拡大に備える。感光材に
次ぐ事業の柱に育成する方針だ。
千葉工場にある既存建屋を倍増し、電解液とイオン性液体の専用設備をそれぞれ導
入した。建物全体のクリーン度をアップさせるとともに、充填場所をドライルーム仕
様とし、湿度管理を徹底する。電解液で月に数十トン、イオン性液体で同数トンの生
産を見込む。設備投資額は非公表。
電解液やイオン性液体は、次世代電池の内部液や添加剤に用いられる。電池の電気
特性を左右するため、有機不純物やメタル成分、水分管理を徹底した高純度品が不可
欠とされる。東洋合成は感光材で培った高純度の製造・管理、分析ノウハウを生かせ
ると判断した。
すでにアンモニウム塩を中心とする電解液、脂肪族系などの各イオン性液体をサン
プル出荷している。燃料電池やリチウムイオン2次電池のほか、電気二重層コンデン
サー(EDLC)、色素増感太陽電池などの次世代電池の開発をにらみ、高純度品の
量産出荷で先行する。感光材と同様の管理水準を設定することで新事業の足場を一気
に固める。
イオン性液体は高い導電性を持ちながら高温にしても蒸発せず、引火しにくい安全
物質。燃料電池などの電解質として注目されている。
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東洋合成、イオン性液体を本格展開、千葉に量産工場完成
(2004/11/16付
化学工業日報4頁)
東洋合成工業は、電解液およびイオン性液体の量産体制を千葉工場(千葉県香取
郡)内で整えた。昨年春からラボ設備での製造品でサンプルワークを進めてきたが、
同工場内で建屋を建設して最新鋭設備を導入、電解液で月産数十トン、イオン性液体
で同数トンの製造が可能な体制を構築した。常温溶融塩とも呼ばれるイオン性液体に
ついては、次世代電池材料向けなどの用途が注目されて開発競争が活発化している。
同社は不純物含有量がppbレベルという高純度品の合成方法も確立しており、量産
体制と併せて市場での主導的ポジション確保を目指す。
東洋合成工業では昨年四月にエネルギー関連の事業部を新設、半導体や液晶材料な
どに使われる感光材料の事業で培った基盤を応用展開し、電解液とイオン性液体の事
業化を推進。イミダゾリウム系、ピリジニウム系および脂肪族系の各種イオン性液体
と、第四級アンモニウム塩を中心とした電解液を開発し、リチウムイオン二次電池、
電気二重層コンデンサー(EDLC)、燃料電池、色素増感太陽電池など向けの内部
液や添加剤用として関連ユーザーへのサンプルワークを進めてきた。
量産用の工場建屋は感光材料の工場棟に接するかたちで建設。建築面積1千平方
メートルの三階建て構造で、一バッチ当たり数トン能力の電解液用製造設備(二系
列)と、同数百キログラム能力のイオン性液体製造設備を導入した。不純物混入防止
の高度なクリーン化対策に加えて、製品充てん場所には同社として初めてとなるドラ
イルーム仕様を取り入れ、湿度管理も徹底している。
九月に電解液用設備から稼働したが、今月中にはすべての設備が完成し、イオン性
液体の製造を開始する。工場建屋は将来に備えて余裕を持たせてあり、現在の数倍規
模に設備を増強できるという。
電解液やイオン性液体は既存物質でも不純物レベルの違いで電気特性が大きく変化
するとされ、高純度品のニーズが一段と高まっている。同社は感光材と同等の管理水
準や微量分析技術で製品を開発・製造するとともに、これまでに約60種類のサンプ
ル品を供給している。量産設備の製造能力は業界でもトップレベルとみられ、技術、
品質管理および量産体制を武器に市場攻勢をかける。
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東海カーボン、特殊炭素製品2次値上げへ、原料のタイト感に拍車
(2004/11/16付
化学工業日報4頁)
東海カーボンは、半導体やエレクトロニクス関連部材ほか広範囲な用途を持つ特殊
炭素製品(ファインカーボン)の二次値上げに向けた検討を開始した。同社は今夏、
原料高騰や採算是正のため特殊炭素製品の値上げを行い、十月末までにほぼ主要な需
要家間で理解を得られ、10%から20%アップの幅で値上げが浸透した。ただここ
へきてピッチコークス、バインダーピッチ、ブリーズといった黒鉛製造の主要原料が
値上がりする動きを見せており「原料メーカーなどから約20%前後の値上げ」(同
社)と再値上げ要請など年末から年明けにかけ、再び価格引き上げがなされる見通し
という。現在、価格幅や時期などの調整に入っており、原料動向を注視しながら最終
判断する意向だ。
半導体や液晶関連、耐熱炉や熱処理、冶金ほか広い範囲で使われている特殊炭素製
品は、これまでメーカー側の供給過剰構造が長く続いており、売価の低下を余儀なく
されてきた。ただ、内外景気の拡大や半導体、液晶向け需要に加え「中国や東南アジ
ア市場の実質的な成長と拡大」(東海カーボン)を迎えており、太陽電池向けなどの
新規需要も加わり今年はじめから特殊炭素製品市況が世界レベルでひっ迫、来年以降
もおう盛な引き合いが続く見通しにある。
一方、原料のピッチコークス、バインダーピッチ、ブリーズもタイヤ用カーボンブ
ラックや中国、東南アジアのおう盛な需要からタイト感に一段と拍車がかかってい
る。東海カーボンでは今夏、こうした原料事情と安定供給に向けた再投資分も含め価
格是正を実施。需要家からの理解も得られ価格修正分はほぼ浸透したが、再び約20
%の原料アップアナウンスがきており「二次となる再値上げ」(同社)を検討せざる
を得ないという。時期、上げ幅などは原料動向を踏まえながら慎重に調整するが近く
最終判断する方針だ。
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ヨウ素利用研究国際シンポ、千葉大で開催
(2004/11/16付
化学工業日報8頁)
ヨウ素の有効利用・活用を目的とした、産学交流の場「ヨウ素利用研究国際シンポ
ジウム」が、今年も千葉大学・けやき会館で五日開催された。今年で7回目となった
同シンポジウム、企業や大学からの参加者が、講演会やポスター発表の場などで活発
な議論を交わした。
ヨウ素は、わが国とチリを中心に偏在する天然資源。消毒・殺菌剤、X線造影剤な
どとして幅広く利用されている。また、近年は新しい太陽電池の電解質への利用など
も展望され、先端分野での新市場も開拓されようとしている。
ヨウ素利用研究国際シンポジウムは、企業と学界が協力してヨウ素の利用研究をさ
らに加速することを目的に1998年から開催されている。
今回は、招待講演3件、特別講演1件、一般講演6件の計十講演、22件のポス
ターセッションが開かれた。
招待講演のうち、話題の色素増感太陽電池開発について、九州工業大学の早瀬修二
教授が「電解質として、ヨウ素が重要な役割を占める」などと指摘。今後の新しい市
場としての可能性を示唆した。
一方、ポスターセッションでは、学生らも交え、各ブースの前では活発な質疑・応
答がみられた。ヨウ素利用研究会の会長でもある小倉克之千葉大学教授は、「産学交
流の実をあげる意味でも、このシンポジウム開催の意義は大きい。とくに、今回は会
場配置にも工夫、産学交流の垣根を例年より低くした」という。ことに、「学生が多
く出入りしている。将来が楽しみ」と目を細める。今後の交流の成果にも期待を込め
ている。
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「Insulation2004技術セミナー」
(2004/11/9付
電気新聞)
電気機能材料工業会(森見純己理事長)の技術部会が主催する「Insulati
on2004技術セミナー」が25、26の両日、東京・墨田区の江戸東京博物館で
開催される。
環境分野から先端技術までを幅広く支える電気機能材料に関する最新の動向を紹
介。8件の特別講演をはじめ、材料メーカーによる新技術、新製品の発表4件が行わ
れる。
25日の特別講演では、「ULの環境ソリューションプログラム」(ユーエルエー
ペックス)、「これからのエレクトロニクス市況と部品―部材企業の戦略」(大和総
研)、「電気・電子業界におけるグリーン調達調査共有化の動向」(キヤノン)な
ど、26日には「EU有害物質規制の動向と分析技術」(堀場製作所)、「塗布で作
製できる高性能太陽電池」(九州工業大学)、「絶縁と難燃材料」(名古屋大学)な
どが行われる。
参加費は会員1万円、その他1万2千円。問い合わせは、TEL03(3829)
4241まで。
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<韓国>ナノ活用の太陽電池、国内研究陣が開発
(2004/10/22付
NNA アジア経済情報1435号)
韓国電気研究院の宋ジェソン・李ドンユン両博士の研究チームは、炭素ナノチュー
ブを触媒として活用した太陽電池の開発に国内で初めて成功したと明らかにした。炭
素ナノチューブは、粒子が10ナノメートル(10億分の1メートル)にすぎない極微細
の物質で、ゴムのように中は空洞になっているため半導体や金属のわずかな電気も保
存・伝達できる特性がある。このため、半導体やディスプレー開発に多く活用されて
いる。太陽電池は、太陽光を利用した電力を生産する装置。これまでは、触媒として
白金やシリコンが使われていたが、コストが高いという欠点があった。
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京セミ(株)の太陽電池を搭載するpT-Engineモジュール
(2004/12/1付
ascii24.com)
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2004/12/03/652918-000.html
pT-Engineは、YRPユビキタス・ネットワーク研究所と(株)日立製作所が開発した、ユ
ビキタス環境でセンシング/制御を行なうプラットフォーム。超小型(本体サイズ幅
20×奥行き20×高さ5mm)、超低消費電力(ボタン電池1つで1年以上稼動)の小型コン
ピューターで、無線でネットワークに接続する。照明器具/スイッチ/センサー/電磁
ロックなどが主なターゲットという。記者発表会では、温度や湿度などを計測する太
陽電池搭載のpT- Engineモジュールなどが紹介された。
京セミの球状マイクロ太陽電池→
http://www.kyosemi.co.jp/pdf/kyosemi%20solar%20aei%200302.pdf
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TRON
電脳住宅の21世紀版!!“トヨタ夢の住宅PAPI”
(2004/12/1付
ascii24.com)
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2004/12/03/652918-000.html
坂村氏は、TRONSHOW
2005の展示内容のほか、トヨタ自動車(株)トヨタホーム(株)と
共同で、燃料電池・太陽光・太陽熱を使ったハイブリッド・エネルギー住宅“トヨタ夢の
住宅PAPI(パピ)”をデザイン/設計/開発したことを発表した。建物は2階建てで、延べ床
面積は633平方メートル。
同住宅には、いたるところに、TRONプロジェクト、T-Engineフォーラムの思想や技術
が使われている。例えば、植物の光合成をヒントに、外壁には色素増感型太陽電池壁モジュ
ールが組み込まれ、家全体で発電する。ホームシアターは、人の気配がするとBGMが流れ、
映像が始まると音響と照明を自動調節する。またユビキタス・コミュニケーターを使って
機器を制御することが可能。ガレージには電気自動車が止められており、ホームサーバー
とカーナビゲーションをネットワークで接続してデータをやり取りしたり、電気自動車を
充電したりする。停電時には電気自動車から電源を家側に供給し、フル充電していれば「
36時間は家の能力を落とさずに維持できる」(坂村氏)という。ちなみに総開発費・施工費
は、数十億円とだけ紹介された。
同住宅は2005年開催の“愛・地球博”の会場に隣接した愛知県愛知郡に作られ、2005
年3月25日から9月25日まで一般公開(要予約)を行なう。